最後に残る「現実的な手続き」を、誰に託すか
「お葬式や納骨は、誰が手配してくれるのだろう」 「未払いの入院費や、アパートの退去手続きで、遠くの親戚に迷惑をかけたくない」 「誰にも見られずに、パソコンやスマートフォンのデータを消してほしい」
終活を進める中で、このような「亡くなった直後に発生する、現実的な手続き」についての不安を抱える方が増えています。特に、おひとりさま(単身者)の方や、お子様がいらっしゃらないご夫婦にとって、これは非常に切実な問題です。
ご自身が亡くなった後のさまざまな手続き(死後事務)を、生前のうちに信頼できる第三者(弁護士など)に依頼しておく制度、それが「死後事務委任契約」です。
遺言書や成年後見制度との「決定的な違い」
ご相談者様からよく「遺言書を書いておけば、お葬式や部屋の片付けもやってもらえるのですよね?」とご質問をいただきますが、実はここに大きな誤解があります。
- 遺言書: 「財産を誰にどう分けるか」を決めるものであり、お葬式の手配や契約の解約といった事務手続きを行う効力はありません。
- 成年後見(任意後見): ご本人が生きている間の財産管理をサポートする制度です。ご本人が亡くなった瞬間に後見人の権限は消滅するため、原則として死後の手続きはできません。
つまり、遺言書や後見制度だけではカバーしきれない「亡くなった直後の空白期間の手続き」を埋めるための専用の契約が、死後事務委任契約なのです。
どのようなことを頼めるの?(死後事務の具体例)
死後事務委任契約では、ご自身の希望に合わせて、以下のような細かな手続きをオーダーメイドで任せることができます。
1. お葬式・納骨・供養の手配
「家族葬で静かに見送ってほしい」「〇〇のお寺に納骨してほしい」「散骨してほしい」といったご希望通りに、葬儀会社やお寺とのやり取り、費用の支払いを代行します。
2. 未払いの医療費・施設利用料の清算
亡くなる直前まで入院していた病院の医療費や、入所していた老人ホームの利用料などを、残された財産から速やかに支払い、清算します。
3. 行政手続き・各種サービスの解約
役所への死亡届の提出や、健康保険・年金の手続きを代行します。また、電気・ガス・水道のストップ、クレジットカードや携帯電話の解約なども確実に行います。
4. 遺品整理・お住まいの明け渡し
ご自宅(賃貸アパートや老人ホームの居室)に残された家財道具の処分や片付けを専門業者に手配し、家主へ鍵を返還して明け渡しを完了させます。
5. デジタル遺品の整理(SNSやパソコンのデータ消去)
ご家族に見られたくないパソコン内のデータや、SNS(LINEやFacebookなど)のアカウント削除を、ご本人の指示通りに確実に行います。
弁護士に「死後事務」を依頼する最大のメリット
友人や遠い親戚にお願いすることも法律上は可能ですが、死後の手続きは多岐にわたり、精神的・肉体的に非常に大きな負担となります。弁護士にご依頼いただくことで、以下のメリットがあります。
- ご親族への負担を「ゼロ」にできる 複雑な手続きや業者とのやり取りをすべて弁護士が行うため、ご親族には悲しむ時間だけを過ごしていただけます。
- 第三者の専門家による「確実な実行」 友人や親族の場合、いざという時にご本人が高齢で動けなかったり、先に亡くなっていたりするリスクがあります。法律事務所という組織に任せることで、約束が確実に実行されます。
- 「遺言」「任意後見」とセットで安心 生前の財産管理(任意後見)から、亡くなった後の手続き(死後事務)、そして財産の引き継ぎ(遺言)まで。途切れることなく、一つの窓口でトータルサポートが可能です。
モデル例や条項例を見てみる
「自分の場合は、何を任せればいいのだろう?」と具体的にイメージしていただくために、当事務所でよくご依頼いただくモデルケースをご紹介しています。ご自身の状況と照らし合わせてご参考にしてください。
基本パターン
・ペットの引き継ぎ手配や、デジタル遺品の処理等の応用パターン
「立つ鳥跡を濁さず」。 ご自身の最期をどう締めくくるかを決めておくことは、残りの人生を晴れやかな気持ちで楽しむための、最高の準備となります。ぜひ、私たちにお手伝いさせてください。