遺言とは

目次

家族の絆を未来へつなぐ、確実な遺言書を

「自分が亡くなった後、家族の間で揉め事(争族)が起きてほしくない」 「大切な財産を、お世話になったあの人に確実に引き継ぎたい」

終活を考える中で、そう強く願われる方は少なくありません。遺言書は、あなたが人生の最期に残す「家族への思いやり」であり、同時に「家族を守るための盾」でもあります。

当事務所は平成元年の開設以来、約40年にわたり数多くの相続問題に立ち会ってまいりました。その経験から確信しているのは、「元気なうちに正しい遺言書を作っておくことこそが、最大の家族孝行である」ということです。

遺言書がないと、どうなるの?

もし遺言書がない場合、残された家族全員で「遺産分割協議」という話し合いをして分けることになります。

この「話し合い」が、実はトラブルの引き金になりやすいのです。

  • 「仲が良い兄弟姉妹だから大丈夫」と思っていても、それぞれの配偶者や生活事情が絡むと意見が食い違う。
  • 実家(不動産)しか財産がなく、きれいに分けられずに売却せざるを得なくなる。
  • 介護などで尽くしてくれた子どもに、多く財産を残してあげられない。

また、法定相続人がいないときに遺言書がないと、あなたの全ての財産が国庫に帰属することになり、あなたが築いた大切な財産を、あなたの想いに基づいて関係者に残すことも出来ません。

このような「争族(そうぞく)」や遺産の国庫帰属は、事前の準備=遺言書が1通あるだけで、そのほとんどを未然に防ぐことができるのです。

遺言の種類

遺言には大きく分けて、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つがあります。

1.自筆証書遺言

紙とペンがあればいつでも作成でき、費用も掛からない遺言です。

ただし、以下のような厳格なルールが定められており、これを誤ると形式的不備により無効となるリスクがあります。

  • 全文の自筆、日付、署名、押印の4点セット これらが全て揃っている必要があります。「令和〇年〇月〇日」と正確に書き、「〇月吉日」といった特定できない日付は無効となります。
  • 訂正方法が複雑 文字を間違えた場合、「二重線で消して訂正印を押し、さらに欄外に『〇行目〇字削除、〇字加入』と追記して署名する」という厳格なルールが法律で決められています。少しでも間違えると訂正が無効になるため、書き損じた場合は初めから新しい用紙に書き直すのが最も安全です。
  • 共同遺言の禁止 「私たち夫婦の財産を~」のように、夫婦や複数人で1枚の用紙に連名で遺言を作成することは法律で禁止されており、無効となります。必ず「1人1通」ずつ作成してください。
  • 財産目録 「財産目録」の部分に限り、パソコンで作成したり、通帳のコピーや登記事項証明書を添付したりすることが認められています。 ただし、この特例を利用する場合は、パソコンで作成した目録やコピー用紙の「すべてのページ(両面に印刷等がある場合は両面とも)」に、遺言者の署名と押印をすることが必須となっています。

また、紛失や改ざんのリスク、死後に家庭裁判所で検認手続きが必要となるなどのデメリットがあります。

もっとも、近年、法務局で自筆証書遺言を保管してくれる制度が始まり、この制度を利用すれば紛失や改ざんのリスクがなくなり、検認の手続も不要となります。また、法務局の保管制度には「遺言者の死亡時に、あらかじめ指定しておいた人(受遺者や遺言執行者など)に、遺言書が保管されている旨を通知してくれる仕組み(死亡時通知)」があります。これにより、遺言書が発見されないまま相続手続きが進んでしまう事態を防ぐことができます。

2・公正証書遺言

公正証書遺言は、法律の専門家である「公証人」が作成し、公証役場で保管される遺言です。

公正証書遺言は、法律の専門家が文案を作成・確認するため、形式の不備や内容の誤りによって遺言が無効になるおそれがほぼありません。そして、遺言書の「原本」は公証役場で長期間厳重に保管されるため、紛失や盗難、一部の相続人による隠匿や書き換えのリスクがありません。検認手続きも不要とされているため、相続発生後、遺族はすぐに預貯金の解約や不動産の名義変更などの手続きに取り掛かることができます。

さらに、病気や高齢で字が書けない方や、目が見えない方、耳が聞こえない方、口がきけない方でも作成することができます。そして、公証人が直接本人と面談して意思確認を行うため、後になって「認知症で遺言能力がなかった」と争われるリスクも減らすことができます。

ただ、財産の額や相続人の数に応じて、数万円から十数万円程度の公証人手数料がかるほか、作成時に証人2名(適任者がいない場合は、当事務所にご依頼ください。)以上の立ち会いが必要となります。そして、事前に必要書類(戸籍謄本、印鑑証明書、不動産の登記事項証明書など)を集めたり、公証人(または依頼した専門家)と文案の打ち合わせをしたりする必要があるため、完成までに数週間から1か月程度の期間がかかります。

このように費用と手間はかかりますが、最も安全で確実な方法として実務上強く推奨されています。

弁護士がサポートする遺言書が「万全」である理由

最近では、市販の本やインターネットを見ながらご自身で遺言書(自筆証書遺言)を書かれる方も増えています。しかし、法的なルールを完全に満たしていないために、いざという時に「無効」になってしまうケースが後を絶ちません。また、

当事務所では、公証役場で作成する「公正証書遺言」をおすすめしており、弁護士が以下の3つの視点から万全のサポートを行います。

1. 形式不備・紛失・改ざんを完全に防ぎ、通知制度による「確実な遺言執行」を担保

遺言書は、日付や押印などの厳格なルールを少しでも間違えると無効になってしまうリスクがありますが、弁護士のサポートによりこの「形式不備」を完全に排除できます。

さらに、公正証書遺言の作成や法務局の「遺言書保管制度」の利用を手配することで、自宅保管による紛失や、他の相続人による隠匿・改ざんのリスクをなくすことができます。

加えて、ご自身の死亡時にご家族へ自動的にお知らせが届く「通知制度」の活用や、弁護士自身を「遺言執行者」に指定しておくことで、残されたご家族が遺言書の存在に気づかずに手遅れになることを防ぎ、あなたのお気持ち(遺言の内容)を確実に実行するところまでを任せることができます。

2. 「遺留分」や「万が一の事態」まで想定し、将来のトラブルを未然に防ぐ

「長男にすべてを譲る」といった遺言を残した場合でも、他の子どもには法律上「遺留分(最低限受け取れる権利)」があるため、家族間で権利を巡るトラブルが生じる可能性があります。また、万が一、財産を受け取るはずの相続人が遺言者より先に亡くなってしまった場合、その条項は効力を失い、改めて遺産分割協議が必要になるケースもあります。

こうした予期せぬ問題を防ぎ、あらゆる可能性を見据えた「万全な遺言書」を作成できるようサポートいたします。

3. 「付言事項(ふげんじこう)」で想いを伝える

遺言書には、財産の分け方だけでなく「なぜこのような分け方にしたのか」という、あなたの感謝の気持ちや本音を書き添えることができます(付言事項)。

解説 「法律」という冷たいルールだけでなく、こうした「温かい想い」を添えることで、ご家族はあなたの決断を心から受け入れることができます。当事務所では、残された家族が、感情面でも納得して円満に相続を終えられるよう、ご相談者様のお話をじっくりと伺い、想いがしっかりと伝わる付言事項の作成を大切にしています。

【付言事項の例】

私は、長年寄り添い、共に苦労を乗り越えてくれた妻の○○に心から感謝しています。私が亡き後、妻が安心してこれまで通りの生活を送れるよう、このような遺言を残すことにしました。

長男の○○、長女の○○には、財産を多く残してやれず申し訳なく思いますが、いずれ母さんが亡くなった時に財産を引き継ぐことになるので、どうか私の気持ちを理解して、母さんが天寿を全うするまで待ってほしい。私が亡き後は、兄弟仲良く、母さんを支えていってくれることを心から願っています。 長い間、本当にありがとう。

遺言書作成の手順

当事務所での遺言書作成は、以下のような流れでじっくりと丁寧に進めてまいります。

  1. 初回ご相談(お話をお聞きします) まずは、あなたの現在の状況や「誰にどんな想いを残したいか」を優しく伺います。
  2. 相続人や相続財産調査・確認 法的なトラブルを防ぐため、誰が相続人になるのか、不動産や預貯金等の財産状況を正確に調査・確認します。
  3. 遺言書案の検討
    • 財産の承継者の選択 リストアップした財産を、「誰に」引き継がせるかを選択します。配偶者や子どもだけでなく、事実婚のパートナーや第三者(お世話になった人や団体への寄付など)も対象として検討します。
    • 財産の承継内容・方法の検討 各承継者に対して、「何を」「どれだけ(割合や具体的な財産)」譲るのか、また「相続させる(法定相続人の場合)」のか「遺贈する(第三者の場合)」のかといった法的な方式を検討します。
    • 遺留分への配慮 配偶者や子どもなどには、法律で保障された最低限の取り分である「遺留分」があります。後日「遺留分侵害額請求」による紛争が起きないよう、遺留分に配慮した分割方法を検討します。
    • 予備的遺言の検討 財産を譲ろうと思っていた相手(配偶者など)が、遺言者よりも先、または同時に亡くなってしまう事態に備え、「もし妻が先に亡くなっていたら、長男に相続させる」といった予備の指定を検討します。
    • 祭祀承継者・葬儀の検討 お墓や仏壇などを引き継ぐ人(祭祀承継者)を誰にするか、また、自身の葬儀や埋葬に関する希望を誰に託すかを検討します。
    • 生前契約の検討 遺言(死後の財産承継)だけでなく、生前の認知症等に備える「任意後見契約」や、死後の事務手続き(葬儀や家財の整理など)を依頼する「死後事務委任契約」などをあわせて結ぶべきかを検討します。
    • 遺言執行者の検討 遺言の内容(預貯金の解約や不動産の名義変更など)を確実に実行するために、権限を持つ「遺言執行者」を誰にするか(親族に任せるか、弁護士等の専門家に任せるか)を検討します。
    • 付言の検討 法的効力はありませんが、残される家族への感謝の気持ちや、「なぜこのような遺産分割にしたのか」という理由を書き添えることで、相続人間の不満を和らげ、トラブルを防ぐよう工夫します。
  4. 遺言書案の作成・確定 上記調査・検討を踏まえて、具体的な遺言書案を弁護士が作成し、あなたのより詳細なご意向をお伺いした上で、内容を確定します。
  5. 公証役場での手続き 公正証書遺言を作成する場合、公証人と連携し、公証役場にて「公正証書遺言」として完成させます。当日は弁護士も同席しますのでご安心ください。
  6. 法務局での手続き 関係者に遺言者がお亡くなりになったこと及び遺言書があることを確実に知らせるため、遺言書保管制度の指定者通知を利用することをお勧めします。

モデル例や条項例を見てみる

よくある遺言書のモデルケースや、特殊な状況に対応した条項の例をご紹介しています。ご自身の状況に近いものを参考にしてみてください。

・一般的な家族構成や、自宅を配偶者に残したい場合のモデル例

・財産を換金して相続させたい、内縁の妻に残したい場合などの条項例

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